冬にさしかかり、風が冷たくなる頃、
島のあちこちでさつまいもを干す風景が見られます。
干してカラカラになったさつまいもと餅を茹でて、
ショウガとゴマと砂糖を混ぜて、成形したものが小値賀島の「かんころ餅」です。
かんころ餅は五島列島の各島で作られますが、ショウガとゴマを入れるのが小値賀の特徴です。
砂糖をのぞく材料はすべて島のもの。
すりたてのショウガとゴマは風味も抜群です。
12月頃、家族や近所の人が集まり、
前日の準備から当日の作業までほぼ1日がかりの手の掛かる大仕事です。
みんなで助け合いながら心をこめてつくられたかんころ餅が完成!!
こんなにたくさん作られたかんころ餅ですがつくった人の手元にはほとんど残らず、
島の外に住む家族や親戚、友人など大切な人におすそわけされます。
「きつかー。来年は減らすぞ」
「でも楽しみに待ってる人がたくさんおるもんね。がんばらんばね」
と笑顔でかわされる会話。
かんころ餅づくりは
小値賀島の島民性が凝縮されたかのような心あたたまる風習です。
赤土で育ったさつまいも×島産のショウガやゴマ×おかあさんの愛情でつくられた
かんころ餅は、もちろん味も絶品!
このうえない贅沢な贈り物です。
この伝統と優しい気持ちがいつまでも続きますように。