島で「役目(やくめ)」というと、自分の暮らす集落での草刈りなどの地域の仕事のことをさします。
「今度の日曜日は役目のあっと。」とか、「今月は役目の多か。」というのは、住んでいる地区でのなんらかの活動がある。という意味。
役目の内容は様々。海岸清掃だったり、農道の草払いだったり、側溝の掃除だったり。なかでも草木の繁る6・7月は役目の多い月。この時期、特に農村集落は、役目が格段に多くなります。
役目は大抵、お勤めに出ている人が休みの週末に設定されます。一家からひとり、出来るかぎり調整して参加します。役目は、ひとりではなかなかはかどらない仕事をみんなで協力して行う「暮らししごと」のひとつです。
「役目」の内容はさまざまですが、多くに欠かせないのが「草刈り」。コンクリートやアスファルトの灰色よりも圧倒的に「緑」が多い小値賀島では、なんの作業をするにもまずは草刈りがついてきます。刈っても刈っても、振り返ったらまた生えてる。というくらい元気な道草とのたたかいです。
役目はチームプレイ。勝手知ったるご近所仲間。「役目」での自分の役目はなんとなくわかっています。長年の集落の付き合いの中で、草刈り機で刈る人、草を集める人、軽トラックで運搬する人、など自然と配置について、黙々と作業を行います。
暑い日などはもうフラフラ。普段から草刈りなどに慣れている農家さんはテキパキと!慣れていない若者や移住者も、ベテランの動きを観察し、見よう見まねで一生懸命に作業します。草が払われ着実にきれいな道に仕上がっていく達成感は特別です。
そしてみんなで汗を流して、休憩にどっこらしょと土手に腰掛け飲むジュースのおいしいこと!長老のじいちゃんの田んぼ話など聞きながら、風にあたり体をやすめます。
近くに畑がある人がスイカを持って来て、草刈りカマで切って食べたり。みんなで汗を流して、ポツポツとおしゃべりをしながら、ぼーっと風にそよぐ田畑を眺めているときの心地よい心の空白は、自然の中で作業したからこそのご褒美。
のどかな島の風景は、島のみんなでこまめに管理をすることで、守られています。